判断フレーム

1台に惚れてはいけません。同じ車種を「数で見て」狙い撃つ

中古車選びでいちばんよくある失敗は、最初に見た一台に惚れてしまうことです。

気に入った車が一台あると、人はその個体を中心に世界を見はじめます。そして相場より高くても「これは特別だから」と理由をつけて、買ってしまう。

避ける方法はひとつしかありません。同じ車種を、数で見る。 一台に惚れる前に、母集団を見る。これが狙い撃ちの基本です。

数を見ると、何が分かるのか

複数の個体を並べると、単体では絶対に見えないものが見えてきます。

まず相場の真ん中が分かります。「この年式・この走行距離なら、乗り出しでだいたいこのくらい」という基準が、頭の中にできる。基準さえあれば、目の前の一台が高いのか安いのかを、その場で判断できます。

そして当たりの見分けがつくようになります。同じ条件のなかで、記録簿がそろっていて、状態の良い個体が浮かび上がってくるんですよね。

要するに、比較対象がないと、人は値段を正しく評価できません。 数を見るというのは、その評価軸を自分の中に作る作業です。

実は、もっと大きい効用がありました

これは11台見終わってから気づいたことなんですが、数を見ていると、売り手のほうが口を開きます。

ヴォクシーを買った店で、雑談の途中に「10台くらい見てきたんですよ」という話をしました。そうしたら店主が、ぽろっとこう言ったんです。

「後輩から下取りで預かってるやつがあるんだけど、まだ掲載してないんだよね」

それが、乗り出し48万円で契約することになった個体でした。他の店で見ていた同条件の車は、だいたい乗り出し60万円前後。明らかに安いと即断できたのは、10台分の相場観が頭に入っていたからです。

つまり数を見る効用は、相場観だけではありません。本気度が伝わって、表に出ていない在庫が出てくる。 正直、狙って発見したわけではなく、あとから気づいたことです。でも再現性はあると思っています。

条件は、途中で変わっていいんです

もうひとつ告白しておくと、僕の探索条件は途中でガラッと変わりました。

もともとはVWのゴルフヴァリアントを契約していたんです。走行15万km。内外装がきれいなのが決め手でした。というのも当時、流行っていたカーシェアアプリのAnycaに登録して貸し出す、という実験をするつもりだったからです。

ところが登録しようとしたら、「走行10万kmまで」の制限にエラーで弾かれました。

そこで契約をキャンセルして、9万km台の国産車を探す方向へ切り替えます。あの制限に弾かれていなければ、ヴォクシーには一生出会っていません。

条件は動いていいと思います。むしろ棚を回っているうちに、自分が本当に欲しいものがはっきりしてくる。僕も途中から「2列目がキャプテンシートの7人乗り」に絞り込みました。3列目に人を乗せるとき、2列目がベンチだとチャイルドシートを動かさないといけないと気づいたからです。

そして11台目は、狙って行った車ではありませんでした

面白いのはここからです。あのヴォクシーは、見に行った目当ての個体ではありません。

カーセンサーで別のヴォクシーを見つけて、それを見に行った先で、たまたま出会いました。家族4人、夕方の訪問です。100均の棚で目当ての物を探していたら、隣にもっといい物があった。そういう話ですよね。

数を見ていると、こういう偶然に当たる確率が上がります。 11台目まで歩いたから、11台目の偶然を拾えた。それだけのことです。

もうひとつの棚:業者オークション

2台目のセレナは、まったく違う方法で買いました。

ヴォクシーの異音をきっかけに知り合った整備工場の社長に、「中古車を探してるんですけど、オークションとかやられてますか?」と聞いてみたんです。返事は即答でした。「入札できるよ!」

そこからは早くて、候補8台がLINEで送られてきます。 僕が見て絞ったのは、走行距離・色・価格の3つだけ。出品票には状態の補記が付くので、タイヤの残量まで画像で確認できました。

ちなみに評価点は気にしていません。むしろ僕が気にしていたのは、R点(修復歴あり)のほうでした。 相場が下がっている分だけ、安く取れるからです。この線引きについては、別記事で詳しく書きますね。

落札の連絡も、LINEで「落札できました」の一言。人に勧められるかというと、ワクワクドキドキしたい人には勧められます。感覚としては、宝くじを買うのに近いです。実際、届いたセレナはナビのタッチ位置が少しズレていました。GoogleMapがあるので実害はゼロでしたが、そういう想定外は起きます。

母集団の作り方は、ひとつじゃありません

整備工場のツテがなくても、時間が取れなくても、比べる相手を増やす方法はあります。

全国を自分の足で回らなくても、母集団はつくれます。

大事なのは手段ではなく、一台に決める前に、複数を並べること。惚れ込むのは、数を見たあとでいいんです。

セレナC26の狙い目。100万円均一なら「素のガソリン車」を選んでください