判断フレーム
1台に惚れて買うな。同じ車種を「数で見て」狙い撃つ
中古車選びで最もよくある失敗は、最初に見た一台に惚れてしまうことだ。気に入った車が一台あると、人はその個体を中心に世界を見はじめ、相場より高くても「これは特別だから」と理由をつけて買ってしまう。
これを避ける方法は、ひとつしかない。同じ車種を、数で見る。年式と走行距離が近い個体を何台も並べて見比べると、相場の真ん中が見え、割高と割安が判別でき、当たり個体を見抜く勘所ができてくる。一台に惚れる前に、母集団を見る。これが狙い撃ちの基本だ。
数を見ると、何が分かるのか
複数の個体を比較すると、単体では絶対に見えないものが見えてくる。
- 相場の中央値:「この年式・この走行なら、乗り出しでだいたいこのくらい」という基準ができる。
- 割高・割安の判別:基準があるから、目の前の一台が高いのか安いのかを即座に判断できる。
- 当たりの見分け:同条件の中で、記録簿がそろい、消耗品が新しく、状態の良い個体が浮かび上がる。
要は、比較対象がないと、人は値段を正しく評価できない。数を見ることは、その評価軸を自分の中に作る作業だ。
私が実際にやった、2つの狙い撃ち
実車を、足で数多く見る
ヴォクシーのときは、カーセンサーで70系後期に絞り込み、栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川と、実車を12台見て回った。数を見ているうちに相場観が固まり、最後に埼玉の店で「店主の後輩から下取りで預かった、まだ掲載前の個体」に出会って、乗り出し48万円で契約できた。他の個体がおおむね乗り出し60万円前後だったことを知っていたからこそ、これが当たりだと即断できた。
プロと組んで、業者オークションを使う
セレナのときは、街の整備工場の社長と組み、業者オークションを使った。FC26を8台の候補から送ってもらい、1台を落札。オークションの出品票には状態の補記が付くので、タイヤの残量まで画像で確認でき、机上でも比較がしやすい。一般の消費者がアクセスしにくい、もう一つの仕入れ導線だ。
一般の人が「数で見る」には
整備工場のツテや時間がなくても、母集団を増やす方法はある。中古車検索サイトで条件を細かく絞って候補を一覧する、希望条件を登録して非公開在庫まで探してもらう、複数業者をまたいで比較する――こうした「探す」サービスを使えば、自分で全国を回らなくても比較の母集団はつくれる(具体的な探し方は、車種別の記事や探し方の記事で扱っていく)。
大切なのは、手段が何であれ、一台に決める前に複数を並べること。惚れ込みは、数を見たあとでいい。