判断フレーム
乗り出し100万円ルール。足車の予算を「先に」固定すると、中古車選びはブレなくなる
中古車選びで失敗する人の多くは、順番を間違えている。先に車種や見た目から入り、気に入った一台を見つけてから予算を後付けで正当化する。これでは、相場にもセールストークにも引きずられる。
私のやり方は逆だ。買う前に、予算の上限を一本決めてしまう。具体的には「乗り出し100万円未満」。この一線を先に引いておくと、その後の判断が驚くほどブレなくなる。これが、私が足車を選ぶときの最初の軸――乗り出し100万円ルールである。
肝は「本体価格」ではなく「乗り出し」で決めること
ここを外すと、ルールは機能しない。**基準にすべきは車両本体価格ではなく、諸費用まで含んだ「乗り出し(総額)」**だ。本体価格だけ見て予算を組むと、登録や税、整備費が積み上がって、気づけば想定を大きく超える。
乗り出し価格に乗ってくるものの、おおよその内訳はこうだ。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 車両本体価格 | 車そのものの値段 |
| 登録・名義変更 | 手続き代行・書類代 |
| 税・自賠責 | 自動車税(環境性能割含む)・自賠責保険 |
| 整備・点検 | 納車前整備、消耗品交換 |
| 納車費用 | 洗車・陸送・店頭引き渡し |
本体50万円の車でも、諸費用を足せば乗り出しは60〜70万円になることは珍しくない。だから**最初から「乗り出しで100万円」**と決めておく。本体価格に惑わされないための、最も実務的な防波堤だ。
なぜ「100万円」なのか
理由は三つある。
ひとつ、この価格帯で、足車に必要な広さ・装備・安全性はそろう。通勤、送り迎え、買い物、たまの遠出――用途を満たすのに、それ以上の金額が要求する根拠は薄い。
ふたつ、新車プレミアムを払わずに済む下限帯だから。新車は乗り出した瞬間から減価償却を引き受ける。100万円未満の中古は、その最も急な値下がりを、すでに前のオーナーが負担し終えた後の車だ。
みっつ、上限を切ること自体が、選別を働かせる。青天井で探すと、人は際限なく「もう少し良いもの」に引っ張られる。上限という制約があるからこそ、「年式を取るか、走行を取るか」「装備を諦めるか」を冷静に天秤にかけられる。制約は不自由ではなく、判断の精度を上げる道具である。
ルールがあると、行動がこう変わる
100万円という上限を先に置くと、自然と次の三つが起きる。
- 年式と走行距離のトレードオフを直視する。同じ予算なら「新しいが過走行」か「古いが低走行」か、どちらかを選ぶことになる。
- 一台に惚れ込んでの予算超過を防げる。上限が決まっていれば、相場より高い個体を「これだけは特別」と買ってしまう事故が起きにくい。
- 1kmあたりのコストが低く保たれる。入口の支出を抑えるほど、走らせるほどに割安になっていく。
100万円の達成には、2つの型がある
私自身、この上限の中で真逆のアプローチを取ってきた。
ひとつは「安い×過走行を使い倒す」型。ヴォクシーは走行9万kmを乗り出し48万円で迎え、15万5千kmまで走り切った。もうひとつは「古い×低走行を拾う」型。セレナは12年落ちながら走行3万km台を、乗り出し88万6,700円で取った。
狙い方は正反対だが、どちらも乗り出し100万円未満に収まっている。上限さえ固定すれば、その中での攻め方は自由だ、ということでもある。
注意:100万円は「魔法の数字」ではない
誤解してほしくないが、100万円そのものに神通力があるわけではない。家族構成や使い方によって、適正な上限は変わる。本質は金額ではなく、「上限を先に決めて固定し、その枠内で最良を探す」という順番にある。あなたの家庭にとっての一線を決め、それを動かさない。それだけで、中古車選びの精度は一段上がる。
上限を決めたら、次は「その一台があと何年・何万km走れるか」を見立てる番だ。そこは別記事の「残耐用の見立て」で、そして「同じ車種を数で見て狙い撃つ」具体的なやり方は、狙い撃ち法の記事で扱っていく。