判断フレーム
残耐用の見立て。中古車の価値は「あと何年・何万km走れるか」で決まります
中古車に貼ってある値札は、過去の記録です。年式、走行距離、装備。どれも「これまで何があったか」の話ですよね。
でも僕たちが本当に買っているのは、過去ではありません。この一台が、ここからあと何年、あと何万km走ってくれるか。つまり未来のほうです。
この「残り」をどう見積もるか。それが、乗り出し110万円の枠のなかで当たりを引くための、2つ目の判断軸になります。
先に白状しておきます
偉そうに「見立て」なんて言っていますが、正直に告白します。僕はヴォクシーを買うとき、エンジンもタイヤもバッテリーも、1ミリも見ていませんでした。
11台を見て回りましたが、チェックしていたのは内装と座席のレイアウトだけ。ボンネットは一度も開けていません。当時の僕に「オルタネーター」とか言っても、たぶんぽかんとしていたと思います。
それでもその車は、9万kmから15万5千kmまで走ってくれました。1kmあたり6.9円です。
なのでこの記事は、「プロのようにチェックしましょう」という話ではありません。素人が素人なりに、どこを見れば残りを読めるのかという話です。
走行距離は、数字より「使われ方」
10万kmと聞くと身構える人が多いですよね。分かります。でも距離の数字そのものより、どう使われてきたかのほうが、たぶん残耐用を左右します。
毎日長い距離を淡々と走ってきた車は、エンジンにとってむしろ優しい使われ方をしていることが多いんです。逆に、走行が少なくても近所のちょい乗りばかりだった車は、エンジンが温まりきらない運転を繰り返してきたことになります。
つまり「過走行はダメ、低走行なら安心」という図式は、半分しか当たっていません。
素人でも読める、3つの手がかり
内装は、いちばん正直です
これが僕のいちばん見ていたところ。内装には、前のオーナーの扱いがそのまま出ます。
11台も見ると分かってくるのですが、革シートはだいたいボロボロでした。表面が割れて、ひびが広がっている。高級装備のはずなのに、経年でいちばん先に壊れるのが革なんですよね。
逆に布シートの個体に出会うと「これでいいじゃん」となりました。汚れは落ちにくいですが、割れません。子どもが乗る車なら、なおさら布で十分だと思います。
整備記録簿は、履歴書みたいなもの
いつ、何を交換してきたか。記録がマメに残っている個体は、それだけで前のオーナーの性格が読めます。だいたいグローブボックスに入っていますよ。
業者オークションで買う場合は、出品票の補記が同じ役割をしてくれます。
消耗品は「これから出ていくお金」
タイヤの溝、バッテリー、ブレーキ、ゴム類。このあたりは年数と距離に応じて、律儀にお金を要求してきます。買った直後に出ていく出費なので、車両価格に上乗せして考えるのが正解です。
僕はこれを買う前に見ていませんでした。だから納車のあとで「あ、タイヤそろそろだな」と気づく、という間抜けなことをやっています。そこは真似しないでくださいね。
残りの距離で、値段を割ってみる
見立てが効いてくるのは、ここからです。
ヴォクシーは9万kmで迎えたとき、なんとなく「あと数年、6万kmくらいは走れるだろう」と踏んでいました。結果は15万5千km。見立てはだいたい当たって、その分だけ1kmあたりのコストが下がっていきました。
同じ80万円でも、残り3万kmの車と、残り8万kmの車は、まったく別の買い物です。 値札に出てこないこの「残り」を読めるかどうかで、得か損かが決まります。
100均の棚で「これ108円なら買いだな」と考えるのと、やっていることは同じですよね。値段だけでなく、その値段で何回使えるかを見ている。
見立ては「終わり方」とセットです
残耐用を見積もると、おまけがもうひとつ付いてきます。手放す時期が、先に見えるようになるんです。
残りが尽きる手前、大きな出費が来る前に売れば、まだ値段がつくうちに次へ渡せます。乗り切ってから二束三文で手放すより、そのほうがずっと得ですよね。この線引きについては、撤退ラインの記事で詳しく書きます。
まずは目の前の一台に、「あと何年、あと何万km走れそうか」と問いかけてみてください。答えが正確である必要はありません。問いを持つだけで、年式と価格に振り回されなくなります。