判断フレーム

タイヤ代は5年で46%上がった。それでもアジアンタイヤに落とせない理由

ヴォクシーに履かせていたタイヤは、2021年7月に4本で42,736円だった。同じ銘柄の同じサイズが、いま1本15,590円。4本なら62,360円になる。実際に払った額で比べると、1本あたり46%増。

同じサイズのアジアンタイヤなら、4本で38,160円で買える。差は24,200円。

それでも落とせなかった。理由は3つ。どれも「性能が悪いから」ではない。

  1. ウェットグリップの等級が、買う画面に出てこない
  2. 一人で乗る車なら、たぶん気にしていない
  3. 後ろに人を乗せる、という一点

順に書く。まず、値段の話から。

同じタイヤが、5年で46%上がっていた

履いていたのは、ヨコハマのブルーアースGT AE51、205/55R16。オートウェイの注文履歴が残っていた。そのまま出す。

買った時期本数表示価格(1本)割引決済額実質1本あたり
2021年7月4本11,990円-5,224円42,736円10,684円
2022年12月2本13,520円-270円26,770円13,385円
2026年9月(現在の表示価格)—15,590円——15,590円

※2021年・2022年はオートウェイ注文履歴より。2026年9月の価格は同サイト商品ページの表示価格(税込・送料無料)

表示価格だけ見ると、11,990円が15,590円で30%増。まあそんなものか、という数字だ。

実際に払った額で見ると、10,684円が15,590円になる。46%増。1本あたり4,906円、4本なら19,624円の差。

効いているのは値上げそのものより、割引の縮小のほうだった。2021年は10.9%引き。2022年は1.0%引き。クーポンの当たり方が変わっただけ、と言えばそれまでだが、財布から出ていく額は正直だ。

2022年に2本しか買っていないのは、FFで前輪の減りが早かったから。4本まとめて替えなければいけない決まりはない。減った側だけ替える。それだけで出費は半分になる。

いま、アジアンタイヤとの差はいくらか

同じサイズで、オートウェイの定番どころと並べる。

銘柄サイズ1本4本
ヨコハマ ブルーアースGT AE51205/55R16 94V XL15,590円62,360円
ナンカン NS-2205/55R16 91V9,540円38,160円
差額6,050円24,200円

※2026年9月時点のオートウェイ表示価格(税込・送料無料)。荷重指数が94V XLと91Vで異なるため、完全な同条件ではない

4本で24,200円。仮に4年で1セット履き潰すとすると、月あたり504円の差になる。

数字だけ見れば、落とさない理由がないように見える。整備工場でも「ぶっちゃけアジアンで十分ですよ」と何度も言われてきた。国産が過剰品質なのか、アジアンタイヤの性能が上がったのか。たぶん両方なのだろう。

それでも、カートに入れる手前で止まった。

買う画面に、等級が出てこない

止まった理由は、長いあいだ言葉にできずにいた。記事を書くにあたって調べ直して、ようやく分かった。

日本にはタイヤのラベリング制度がある。転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を等級で表示する、業界の自主基準だ。ウェットグリップはa・b・c・dの4段階に分かれる。制動力の指数が155以上ならa、140から154がb、125から139がc、110から124がd。出典は日本自動車タイヤ協会(JATMA)。

ここで誤解が1つあった。この制度、国産メーカーだけのものだと思い込んでいた。違った。15社が参加していて、そこにはナンカンもクムホもハンコックもネクセンも入っている。「アジアンタイヤだから等級がない」わけではない。

問題はそこではなかった。通販の商品ページに等級が書かれていない。

ヨコハマ側の商品ページも、ナンカン側の商品ページも見た。どちらにも等級は書かれていなかった。メーカーのサイズ表にはアイコンで載っているが、買う画面では並べて比べられない。

比べられないものは、比べられない。そうなると人は何で判断するのか。知っているブランドかどうか、だ。ヨコハマで止まったのは、性能を検証した結果ではない。検証できなかった結果だった。

一人で乗るなら、たぶん気にしていない

もう1つの理由は、もっと単純だった。

一人で乗る車なら、たぶんアジアンタイヤを選んでいた。雨の日に少し慎重に走ればいい話だし、1本6,050円の差は6,050円の差だ。

でもファミリーカーには、後ろに人が乗る。判断を誤ったとき、その結果を引き受けるのは運転している人間だけではない。この一点で、許容範囲が変わった。

合理的な判断ではないのかもしれない。ナンカンNS-2は、オートウェイでレビューが357件ある(2026年9月時点)。総合4.19点、ウェットグリップの項目でも4.3点。数字としては十分に高い。それを知ったうえで、まだ落とせていない。それだけの話だ。

だから「アジアンタイヤはやめておけ」とは書かない。書ける根拠がない。履いていないので。

まとめ

通勤と買い物が中心で、一人で乗ることが多いなら、アジアンタイヤでいい。差額の24,200円がそのまま浮く。家族や人を乗せる機会が多いなら、判断材料が揃うまでは国産。高速や長距離が多いなら、等級を確認できる銘柄を選ぶ。

銘柄とは別に、もう1つある。4本まとめて替えるつもりだったなら、まず「減った側2本だけ」を検討する。2022年に払ったのは26,770円。4本替えていれば53,000円を超えていた。効き目としては、こちらのほうが大きい。

買うときの手順も書いておく。通販でタイヤだけ買って、近所の整備工場やガソリンスタンドに直送し、持ち込みで交換してもらう。工賃は店によるので、送る前に一度電話で確認したほうが安全だ。持ち込みを受けない店もある。荷重指数と速度記号が車の指定を満たすかは、交換を頼む店に確かめてもらうのが確実だ。

通販で買うなら、商品ページで銘柄名を確認したうえで、メーカーのサイズ表でウェットグリップの等級を見てから決める。等級が公開されていれば、それは比べられる情報だ。比べられる情報がある銘柄を選ぶ。今回の結論に一番近い行動は、それだ。

2021年と2022年の注文は、どちらも発送先を、交換してもらう店にしていた。

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます

→ タイヤ通販 AUTOWAY


タイヤは、財布の話をしているうちは気楽だ。雨の日に人を乗せて止まれるかを考え始めると、まだ落とせない。

中古車の価値は「あと何年・何万km走れるか」で決まる